カテゴリ:キベリタテハ( 3 )

キベリタテハの翅

ある日の昼下がり。
廃墟と化した森の中の一軒家。
辺りは冷やりとした空気が立ち込め、物音一つ聞こえない。

空を切るように飛んできた小豆色の翅のチョウが
窓ガラスにぴたっと止まる。
チョウが覗き込んだ視線の先には一人の老人が古ぼけた椅子に座り、
ちびりと舐めるようにウイスキーのグラスを傾けていた。

人が居たのか・・
チョウの翅の外縁の黄白色が怪しく光った。


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・・・・
なーんて小説の一こまのような光景を演出するのにこのチョウは似合うのかな
(苦笑)


キベリタテハ(黄縁立羽)

北半球の温帯から寒帯に広く分布するタテハチョウ。
日本では晩夏に姿を現しては亜高山以上の標高にて魅了するチョウだ。
何故か植物に止まるよりも建物やアスファルトに止まってしまうのですが、
こんな窓枠に止まると絵になるものです。



この日、私は結構な数のキベリタテハに出会えた。
相変わらず止まるところはこんな場所が多い。



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こんな道沿いのガードレールの金属のワイヤーでも口吻を垂らす。
このチョウは人造による物に含まれる微妙な芳香族の臭いに敏感で、かつ好きなんだろうね、とは私の推測。



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裏翅から外縁に別の色が見えるタテハチョウってキベリタテハだけかな?




それでも今回は、自然の中の石やら土やらに止まるまで粘りましたよ。

止まるとすぐに翅を広げるから似たような姿ばかりだけれど、
この表翅の魅力に引き込まれて写真を撮っているので、チョウには感謝の一言に尽きる。



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白い石がこのチョウの翅色を引き立ててくれたね。


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綺麗な水で濡れる土での吸水は嬉しかったなー。



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最近買った本、「なぜ蝶は美しいのか」 フィリップ・ハウス著の中にて
キベリタテハの翅についても取り上げられている。

この翅の外縁、有毒な幼虫に擬態しているとか・・

「黒い斑点のある白、またはクリーム色は、カイコガの背の曲がった幼虫や
その祖先である中央アジアの野生種クワコの幼虫に似ている。
これらの幼虫が餌にしている桑と葉に毒素を持つ。
キベリタテハが新世界に入植した際にも
これらの幼虫の模倣は有利に働いたと考えられます・・」
(天敵の鳥に食べられないの意味)

そう言われてみると、後ろ翅の小さな突起は蚕の足にも見える。

「でも、だったら葉っぱに止まってよー。土や石に蚕はいないでしょー。」

と思ったのはこの日より後のことでした。



1回だけ草に止まりましたが、翅の上に葉が被っちゃって・・



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手の上に乗せたキベリタテハを葉っぱに止まらせようとして、いやだと逃げられた私でした。


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ヤナギランが霧の中で美しく、チョウに癒された日でした。



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8月17日 信州にて





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by MIYAKOUTA5040 | 2017-08-30 20:02 | キベリタテハ | Comments(14)

8月も終わり .. またキベリに会えるかな

8月も今日で終わり。

チョウ達と出会う機会が少なかったこの夏、
僅かな時間を作って出かけた晩夏の高原も、暑くてチョウは飛び出さない。


8月21日
三河に戻る前に立ち寄った高原。
見慣れた花が多いなか、小さな花を見つけた。


タチコゴメグサ



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15cmほどの草丈に5mmほどの小さな花。他の植物に隠れるように咲いていた。

調べてみれば、自身で光合成をしながらも、他の植物の根に自分の根を食い込ませて養分を奪う半寄生植物だとか。
花びらに抱えた水滴からは、そんな事を微塵も感じさせない清楚さを感じたのですが、植物も生きて行くための工夫がいろいろあるものです。




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チョウはキベリタテハ(黄縁立羽)。

立ち寄ったお土産屋さんの駐車場にて緩やかに飛んでは止まりました。




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このチョウを撮っていたらお店にいた方々が集まり、綺麗な表翅に喜びの声を・・


私はチョウの名前を教えてあげた。




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いつも出会うのはコンクリートや砂利道の上、たまに建物の壁。。



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キベリさん、今度はこんなシラカバの木の幹でお会いしましょうよ。




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この秋、もう一回ぐらいこのチョウに会いたいものです。



長野県








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by MIYAKOUTA5040 | 2016-08-31 19:47 | キベリタテハ | Comments(14)

残暑に魅せる5

いつの間にか8月も終盤。
秋雨前線の影響で雨が降り、残暑とは思えぬような天気のここ数日です。
残暑に魅せるなどど付けたタイトルも合わなくなってきました。

高原で撮った植物もこれが最後。
ウスユキソウ。

日本では最もエーデルワイスに近いとか。
花の時期になると、上部の葉の表面が化粧をしたように白くなるとのこと。
地味で質素な風情が目に優しかった。

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載せるチョウは8月22日のもの。
ほぼ日本全国で見られるルリタテハも、高原の笹に止まるとなんとなく色鮮やかに感じるのは、故郷を贔屓目に見ている証拠かな。

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この日の高原ならではのチョウはキベリタテハでした。
暗紫のベルベットのような地と、燻し銀のような薄黄色い縁取りの翅。

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ここは過去開発が進む前、両親に連れて行ってもらったことがある場所の近く。
もう45年も前であるが、たくさん地面にこのチョウが止まっていたのを覚えている。

ここ数年この時期にここを訪れると、毎年何故か一頭だけ同じように地面に止まっているのを見ている。
メスは100~200個の卵を産むらしいのだが、その内の一頭が遺伝を継ぐようにここに止まるのだろうか?
それとも面積的に一頭が、専有するのにふさわしいのでしょうか?
不思議だなと思う。

始めはカメラに反応するかのように飛んでは止まりを繰り返していたこのチョウも、襲う危険が無いことを感じてか、長時間止まってくれた。

地面に口吻を垂らす姿はなんともユーモラスだなと思って撮影した。

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残念なことに、この後何も知らずに喋りながら集団で近くを通った人を察して、道路に飛び出した。
通りがかった車に当たる所までは見たが、その後付近を捜しても見つからなかった。

結局、人が開発し住む場所を追われ、そして人の被害に遭う。
寂しい高原の残暑の結末であった。

無事このチョウが生きていて、来季もこの場所に子孫が止まって欲しい。
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by MIYAKOUTA5040 | 2015-08-30 19:21 | キベリタテハ | Comments(18)