カテゴリ:鱗粉観察( 3 )

ギフチョウの鱗粉は・・

ふれあいの里で冬の間ずっと花を咲かせていたのはナズナ。
ふとマクロレンズで写してみるとこれがなんとも美しかった。

花束をそっとプレゼントしてもらったような気持ちになった。




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ぺんぺん草なんて呼ばれている雑草も、拡大してみると知らなかった世界が見えてくる。そう気付かされた冬でした。


チョウだって同じ。

「綺麗な翅」という表現はよく使われていても、その翅を拡大してみる機会は少ない。
だから「綺麗な鱗粉だね」なんて会話はチョウ友との間でも無い。


我が家には娘が児童期にチョウに興味を持った時期があり、家族で作った標本がある。
年を経て、朽ちた翅が出ると電子顕微鏡にて極力観察するようにしています。

私的には日の目を見ることがなかったチョウ達の翅を、ブログにて紹介することがせめてもの供養だと思っています。

昨年の夏のことではありますが、ある機関にて電子顕微鏡(SEM)をお借りして、新たに3種類のチョウを観察しました。
機会があれば載せたいと思っていましたが今回はそのうちのひとつを載せます。
ブログにするのはこれで3回目。
(過去の2回は鱗粉観察のカテゴリーにて載せています)




ギフチョウ

翅も綺麗だけど、鱗粉の形が印象的だった。
200倍の世界。鱗粉の幅は0.1mm程度です。
丸みを帯びた形が今までみたチョウと比較して可愛らしかった。ほら、画像を逆さにするとチューリップみたいでしょう。



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ちなみに裏翅をレーザ顕微鏡で観察するとこんなチューリップが並んだ。




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拡大していきます。倍率1000倍の世界です。
一つの鱗粉に入る縦の筋、これをリッジと呼ぶのですが、
チョウの鱗粉に共通して存在するので、私自身、この部分にどんな機能があるのか色々と調べようとしているのですよ。




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倍率3000倍の世界。リッジの間隔はおおよそ3μm程度。髪の毛の太さの30分の1位ですね。
リッジの間に網目模様。この網目の下に色素があるのか。



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何億年という環境の変化に応じて進化してきた昆虫達。
そこには生き抜いてきた合理的な機能が有って、今やものづくりにも着目されている。
また、デザインでも生物模倣が着目されている。


この水を弾く商品のデザインはギフチョウの鱗粉から・・なんて事もこれから先あるのかも知れない。






それにしてもギフチョウが里山に飛ぶ春が待ち焦がれます。





(2015年4月画像 再掲)

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by MIYAKOUTA5040 | 2017-02-20 19:20 | 鱗粉観察 | Comments(14)

ツマキチョウの鱗粉観察

慌しくヒメギフチョウを追った次の日、4月20日。故郷の天気は寒く曇り空でした。
チョウの散策は諦めて、飯田市美術博物館の電子顕微鏡観察教室に行ってきました。

この時期のチョウである、ツマキチョウの鱗粉観察です。
ツマキチョウの魅力と言えば、オスは表翅の先端のオレンジと裏翅の緑のグラデーションが人々を癒します。

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この日、ご対応して下さったのは学芸員の四方さんでした。
今年、チョウ類保全協会でもご講演をされた、蛾の研究をされている方です。
鱗粉観察前に、整理されていた蛾の標本を見せていただきました。
地味な翅色は擬態が目的であることや
同じ種類なのに個体差が大きく、尾(生殖器)の形状で区別することなど解説して頂きました。
茶色もグラデーションが素晴らしく綺麗で、蛾も思ったより魅力的なことに気付かされました。

ツマキチョウの鱗粉観察は、標本にしていたものの朽ちてしまったオスの翅で行いました。
まずは実体顕微鏡による観察です。倍率30倍の世界です。
写真は接眼レンズ越しにiphoneで撮影していますので、画像の鮮明さには欠けます。

表翅の先端のオレンジの部分の境界です。
びっしりと敷き詰められた白、オレンジ、黒の鱗粉、ここまでは想像していた通りですが、黒い鱗粉のエリアに
銀色(冷静に見れば灰色)の鱗粉の島があることが分かりました。

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後翅裏の濃い緑のグラデーションの部分です。
まず気付かされたのは毛が多いことです。もともと胴体近くは毛が多いのですが見たのは翅のほぼ中央。
少し意外でした。
春型のチョウは毛深いものが多いと四方さんは言われていました。春の寒の戻りの中体温を保護する上で必要だと思いますが、翅の中央付近にあるのは何故なのでしょう。熱伝導性が影響するのでしょうか、疑問です。
鱗粉は濃い緑地に、白の鱗粉の飛島が有り、黄色い鱗粉が縁取っています。さらに緑地には細かな白黄色の鱗粉が散りばめられています。そしてこちらも銀色(灰色)の模様が見えました。
この微妙な色使いと配置が、人々を魅了しているのでしょうね。

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次は電子顕微鏡(SEM)です。観察場所は後翅裏の赤い四角で囲った部分です。

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まずは350倍です。
鱗粉の幅、および先端の形状がまちまちでした。以前観察したキタキチョウの表翅
の整然とした並びを想像していましたので意外でした。
幅は50~100μmです。
ただ、チョウも翅の位置により形も異なりますので翅全体がまちまちだとは限りません。
おそらく表翅は整然と形も揃って並んでいるのではと思います。

裏翅が鱗粉が規則正しく並んでいないことは、立体的にも感じ、擬態で葉っぱの中に溶け込む効果が有るのかな
と思いました。

鱗粉の数を概算してみました。
この画像は250×360μmの面積でありおよそ40個です。
仮にツマキチョウの後ろ翅の面積を160mm2程度とすると77000個ほどの鱗粉があることになった。
翅4枚の表裏を計算すると一頭のチョウの翅に約60万個ほどの鱗粉が存在することになる。
精度は悪いがオーダー的にはこんなものと考えて良さそうです。

重さはどの位なのだろう、と興味がまた湧きます。

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下画像は倍率を1000および5000倍に上げています。構造はキタキチョウと同様筋状の縦横の網目のような形状です。

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下は毛のある部分の画像です。
実体鏡とはまた見え方が違いますので印象が変わります。
鱗粉と鱗粉の間からすっと伸びている様子が分かります。
翅の上部に覆うことで鱗粉に物体が当たった時の保護の機能もあるのでしょうか。
それにしてはまばらな密度です。

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5000倍の画像です。
毛には筋状の線がくっきり見えました。新たな発見です。
鱗粉の長さ方向に走る筋状の線と外観が似ています。鱗粉も毛も同じ物質だと感じます。
筋には小さな楔状のギザギザがあります。
さて何か機能的な意味があるのでしょうか。

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実体鏡も電子顕微鏡も普段見ているチョウのミクロの世界として楽しめました。
何かにつけて鱗粉に合理的な機能を想像するのは、私の悪い癖なのかもしれません。
想像した機能を検証するのは難しいことでしょう。
それでも、チョウにまた違った印象が持てます。

美術博物館の名前は、宣伝にもなるとの事で書きました。
また四方さんのお名前については、お任せしますとの事でしたので、お礼の意味を込めて書かせて頂きました。
ご迷惑でしたらご連絡下さい。

楽しいお時間をありがとうございました。
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by MIYAKOUTA5040 | 2014-04-23 05:58 | 鱗粉観察 | Comments(19)

ミクロの世界へ

今日のブログはちょっといつもの散策とは違います。
12月15日。ミクロの世界を覗きたくなって、とある施設を訪れ、電子顕微鏡(SEM)で鱗粉を観察させていただきました。私自身、今年最後のイベントです。

下の写真は、電子顕微鏡のCRTをスマホで撮影したものです。
一部CRT表面の反射がありますが、こんなに綺麗に写るとは思いませんでした。
全画像を撮っておけば良かったのにねー。

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チョウの主はというと、キタキチョウ。
このキタキチョウは昨年のちょうど今頃に、我が家の庭にて越冬を始めたのですが、残念ながら3月2日に果て、冬を越せなかったものです。
捨てずに保管していました。

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電子顕微鏡では、表翅を観察しました。
まずは350倍の世界からです。
驚いたのは、鱗粉の形が2種類。しかも、上下2段に規則良く並んでいたこと!
表面は鱗粉の先端が丸いのに対し、下段はギザギザがありました。何かこのように並ぶ合理性があるのでしょうかね?

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倍率を1000倍にしてみました。長さを測るとおおよそ鱗粉の幅は太い場所で48μm、長さは見える範囲で100μmほどでした。
人の髪の毛の太さが平均80μmと言われていますので、幅はそれよりも小さいですね。

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1000倍で45°に傾けました。
上段と下段で鱗粉に走る線のピッチが異なります。さらに上段の鱗粉は先端や外周が表面側に反って見えます。
明らかに機能を使い分けた鱗粉だと思うのですが、調べても分りません。
MIYA KOUTAが思うに、上部の鱗粉のほうが水の濡れ性が小さいようにピッチが細いのかな?
また反っているのは空気抵抗を下げて飛ぶ力の負担を下げているのでしょうか?
下段はメスを誘う香りや蛍光が強いのかな?

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こちらは5000倍で、45°傾けてあります。
まるで縦糸と横糸を編んだような感じで、格子状の穴が見えました。
なるほど、チョウは小さな体で、大きな翅を持っていますが、翅を軽くする工夫がされているように思いました。

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10000倍の画像です。
格子状の中に球のような発香鱗or蛍光を放つ物質?が観察できました!
大きさは0.2μm位、2000Åの世界です。ちょっと感動です。

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いつもは平凡なチョウ故に、あまりブログに登場しないキタキチョウですが、憧れのミクロの世界は別世界でした。
ほかのチョウも機会があったらまた観察したいものです。
ご協力頂いた方に感謝致します。ほんとうにありがとうございました。
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by MIYAKOUTA5040 | 2013-12-15 18:32 | 鱗粉観察 | Comments(22)