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キベリタテハの翅

ある日の昼下がり。
廃墟と化した森の中の一軒家。
辺りは冷やりとした空気が立ち込め、物音一つ聞こえない。

空を切るように飛んできた小豆色の翅のチョウが
窓ガラスにぴたっと止まる。
チョウが覗き込んだ視線の先には一人の老人が古ぼけた椅子に座り、
ちびりと舐めるようにウイスキーのグラスを傾けていた。

人が居たのか・・
チョウの翅の外縁の黄白色が怪しく光った。


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・・・・
なーんて小説の一こまのような光景を演出するのにこのチョウは似合うのかな
(苦笑)


キベリタテハ(黄縁立羽)

北半球の温帯から寒帯に広く分布するタテハチョウ。
日本では晩夏に姿を現しては亜高山以上の標高にて魅了するチョウだ。
何故か植物に止まるよりも建物やアスファルトに止まってしまうのですが、
こんな窓枠に止まると絵になるものです。



この日、私は結構な数のキベリタテハに出会えた。
相変わらず止まるところはこんな場所が多い。



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こんな道沿いのガードレールの金属のワイヤーでも口吻を垂らす。
このチョウは人造による物に含まれる微妙な芳香族の臭いに敏感で、かつ好きなんだろうね、とは私の推測。



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裏翅から外縁に別の色が見えるタテハチョウってキベリタテハだけかな?




それでも今回は、自然の中の石やら土やらに止まるまで粘りましたよ。

止まるとすぐに翅を広げるから似たような姿ばかりだけれど、
この表翅の魅力に引き込まれて写真を撮っているので、チョウには感謝の一言に尽きる。



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白い石がこのチョウの翅色を引き立ててくれたね。


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綺麗な水で濡れる土での吸水は嬉しかったなー。



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最近買った本、「なぜ蝶は美しいのか」 フィリップ・ハウス著の中にて
キベリタテハの翅についても取り上げられている。

この翅の外縁、有毒な幼虫に擬態しているとか・・

「黒い斑点のある白、またはクリーム色は、カイコガの背の曲がった幼虫や
その祖先である中央アジアの野生種クワコの幼虫に似ている。
これらの幼虫が餌にしている桑と葉に毒素を持つ。
キベリタテハが新世界に入植した際にも
これらの幼虫の模倣は有利に働いたと考えられます・・」
(天敵の鳥に食べられないの意味)

そう言われてみると、後ろ翅の小さな突起は蚕の足にも見える。

「でも、だったら葉っぱに止まってよー。土や石に蚕はいないでしょー。」

と思ったのはこの日より後のことでした。



1回だけ草に止まりましたが、翅の上に葉が被っちゃって・・



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手の上に乗せたキベリタテハを葉っぱに止まらせようとして、いやだと逃げられた私でした。


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ヤナギランが霧の中で美しく、チョウに癒された日でした。



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8月17日 信州にて





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by MIYAKOUTA5040 | 2017-08-30 20:02 | キベリタテハ | Comments(14)

初秋に似合う

今年も信州の高原に、羽化したアサギマダラが飛ぶ季節となりました。

久し振りに晴れた8月17日。 空の色はもう秋色かなと感じます。

訪れたのは峠なのですが、高い所にアサギマダラも集まる習性があるのか、沢山上がって来ていました。


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これから南下の長い旅が始まります。充分にここで休息して、また三河で会いましょう。



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エルタテハもガードレールのポールにくつろいでいました。
久し振りに近くで撮ってみると、濃いオレンジの濃淡に黒と白の色合いは魅力的なチョウです。
こんどは自然の中にて会いましょうね~。


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ふと見ると、大好きなヤマハハコにクジャクチョウが止まっていました。
そろそろドライフラワー化が始まるかなと思わせる白い愕に色が変わりつつある黄色の花。

ゆったりと吸蜜していましたよ。



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閉じ気味の翅からは、妖艶さよりも陰影を秘めたような趣きがあるなと気付きました。


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ちょっと後翅にはビークマークが、鳥さんにつかまりそうになったのかな。



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一度飛んで止まったのは別の花。この花はヨメナかな。


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ヤマハハコ(山母子)にヨメナ(嫁菜)
優しそうな女性を想像する花に、クジャクチョウもなにか甘えているような気がしました。


高原の秋に似合うチョウ。もう少しこの初秋に出かけて出会いたくなりました。











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by MIYAKOUTA5040 | 2017-08-26 18:48 | クジャクチョウ | Comments(14)

故郷のムモンアカシジミ

今年の夏季の長期連休は天気が悪く、寒い日が多かった。

そんな中でのチョウとの出会いの一こま・・



8月15日 終戦の日 小雨。


この日は諏訪湖の花火大会の日であり
市内の駐車場はすぐに一杯となった。


私は実家から歩いてその場所に向かった。


着くや否やふわっと飛んで、なんと目の前に止まった!


ムモンアカシジミ。


シーズン最後に発生する真夏のゼフィルス








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実はこの一週間前、この場所で県外の採集者夫婦とばったり出くわした。

網によって木よりたたき出された赤いシジミが飛ぶ姿・・
叫び喜ぶ採集者の奥さん・・
これが目と耳に焼き付いた。

私は撮影すること無くすぐにその場を離れました。



 そんな脳裏のシーンを振り払うように現れたのがこのチョウだ。


採集に巻き込まれなかったムモンアカシジミの姿が確認できてホッと!

綺麗な♀のようです。



この娘は何回も目の前を飛んでは
写してよと言わんばかりに近くの葉の上に止まってポーズを取ってくれた。



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採集圧の強い場所ですが、
負けないでしっかり生き抜いて!!



・・・・


近くに咲いていたのはキンミズヒキ(金水引)


水引には、
魔除けや人と人を結び付けるという意味があるらしい。




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この日のムモンアカシジミも連れ合いを見つけて、
しっかり結ばれ、
子孫達が来年以降も元気に飛んで欲しいものです。



真夏の太陽は輝かなかったけれど、
赤い翅のこのチョウは輝いていた。











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by MIYAKOUTA5040 | 2017-08-22 21:21 | ムモンアカシジミ | Comments(14)

八ヶ岳 クモマベニヒカゲ

笹薮が茂る急坂道をぜーぜーして登り、ようやく開けた尾根に出た。
高山植物は水滴を湛え、私の疲れなどは取るに足らないことだ。と言うかの如く静かに咲いていた。

花は岩場で咲くシナノオトギリ。
花びら、蘂の黄色と、赤みを帯びた蕾が鮮やかだ。
霧の中でも輝きを放った。


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この夏、どうして八ヶ岳にこれほど拘ったのか?
自分でもよく分からない。

ただ登っている最中に頭に浮かんだのは、
小さい頃、父親が何回か西岳にきのこ採りに連れて行ってくれた事や、
中学校の登山の行事で天狗岳や赤岳に登った事だった。
やはり自分の成長の過程にて、何らかの影響を与えた故郷の山が八ヶ岳なんだろう。

チョウの写真を撮るようになって7年目。
国内の色々な場所に出かけてはチョウを撮りながらも、
故郷の山のチョウを撮らずにいることに自分自身情けない。と思っていたのも事実である。


この日拘ったチョウはクモマベニヒカゲ(雲間紅日陰)
高山チョウらしい名前だ。

本州では標高1800m以上で見られるチョウとあるが、
向かったのは標高2000mを優に超える、歩いて2時間半の場所。
時期的には遅いと知りつつも、なんとか会わねば・・


シナノオトギリソウを撮った場所よりさらに標高を上げた。



ベニヒカゲが飛び交う中にぽつんとマツムシソウに止まるチョウ。
会えた!♀だ。

翅に傷みはあるものの、歩いた分喜びも大きい。
登山って苦労するほど感動も大きくなるものなんだと気付く。




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霧が覆った。チョウは一斉に姿を消す。
辺りはオンタデにベニヒカゲの食草、ヒメノガリヤス?が露に濡れて幻想的だ。



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霧が晴れた。
飛び出すベニヒカゲに混じってクモマベニヒカゲはキオンに止まった。
どうやら先ほどと同じ個体だ。



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黄色のキオンとの組み合わせはちょっと華やかに感じる。




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裏翅の白帯が目に焼き付いた。



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雨の中の下山であったが、会えた喜びを噛み締めた。



タカネヒカゲ、ミヤマシロチョウ、ベニヒカゲ、クモマベニヒカゲ。
なんとか4種類、八ヶ岳の高山チョウにこの夏会えることができました。
今年のマイブックには八ヶ岳の高山チョウの写真を載せて、父親にも見せてあげよう。
八ヶ岳に反応してくれると嬉しいのだが・・

少し尖がった夏でした。
チョウのシーズンも後半突入ですが、息抜きしたいです。



8月13日









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by MIYAKOUTA5040 | 2017-08-19 18:02 | クモマベニヒカゲ | Comments(12)

スジボソの誘い ヤマキチョウに出会う

8月5日のこと。

ベニヒカゲの山から下りると,
台風5号の影響かやけに蒸し暑い。その上陽射しが強い。

そんな中でも迎えてくれたチョウは
スジボソヤマキチョウ(筋細山黄蝶)

草叢の端に咲くイブキジャコウソウでの吸蜜。 暑いよね~




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この日スジボソヤマキチョウは結構な数を見ることができた。



一頭の♀のスジボソヤマキを撮っていたところ飛んだ。
(相変わらず飛翔が絵にならない私です・・)



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このチョウは20mほど飛び、草叢の中に降りた。
その場所付近を捜すと・・・



あれ、ヤマキチョウ(山黄蝶)・・(絶滅危惧ⅡB類)



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嬉しい出会いなのですが、スジボソヤマキチョウは何処に行った?





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同じアザミの花に止まっていたのですねー


ヤマキチョウとスジボソヤマキチョウ。
区別が難しいのですが、
こうして同じ花に止まると前翅先端の突き出しの形がずいぶん異なるのが分かります。

ヤマキチョウは♂、スジボソヤマキチョウは♀、突き出し方に最も差がある組み合わせです。
突き出しの大きいのがスジボソヤマキチョウ。




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その後2頭は一度上空で絡み、スジボソヤマキチョウはこのアザミから追い出された。


それにしてもヤマキチョウさん、
紅い花に白い綿毛の混じったアザミにまで止まって、お洒落な雰囲気を演出してくれてありがとう!



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チョウが誘いチョウに出会う。
蒸し暑さの中、チョウによって爽風を感じました。








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by MIYAKOUTA5040 | 2017-08-15 17:35 | ヤマキチョウ | Comments(14)

山ひとり ベニヒカゲ

森の中にコオニユリが咲く。
羊歯ばかりが覆う中にぽつんと咲く。


その花に気が付いたのは、私以外に歩く姿なき山ゆえ、
僅かな植物の息吹にも敏感だったのかもしれない。



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最近は一人でチョウを見に行くことが多い。
実家に帰るついでもあり、他の方とチョウ行する機会がほとんど無くなった。






岩場にキバナツリフネソウが咲く。
もっと湿った場所に咲く印象なのだが、こんな所に咲いて大丈夫なのだろうか。
これも一人だからこそ気が付いたのかな。



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標高は1700mほどになると、この時期にもゼフィルスがいる。



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下に降りて半開。
だいぶ傷んだ翅の姿であるが、輝きは眩い。

この色合いはアイノミドリシジミだろうか?




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さらに標高を上げる。
一番会いたかったチョウとは異なるが、
なにせ一人。
観光地でない場所にて、
出始めと思われるこの高山チョウに会えただけでも嬉しい。



ベニヒカゲ


翅を広げての静止時間が長かったのは、
人を見慣れていない場所ゆえの遺伝子なんだろうか・・・・




崖に止まる。



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草に止まり・・・


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苔に止まる。




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地味なのにこの存在感に引き込まれたのは、
数が少なかったからこその光景だったからだろう。



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一人の山の時間は光を感じ、風を感じ、花を感じ、チョウに和む。


最高に贅沢な時を過ごせたと、今になって気が付いた。


8月5日 八ヶ岳











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by MIYAKOUTA5040 | 2017-08-11 19:04 | ベニヒカゲ | Comments(14)

八ヶ岳 ミヤマシロチョウ

「今年は発生している・・」
故郷の方からの連絡を受け、出かけてみた。


2016年は越冬巣も成虫も確認することができなかったそうで、八ヶ岳のミヤマシロチョウは絶滅が危惧されている。


確認した日はミヤマシロチョウの時期としては終盤。天気は曇り。
見ることは叶わないかと思っていた頃にふわっと舞った。



何はともあれ八ヶ岳の地に舞ったので、ご報告しておきます。


舞い降りた近くまで行くと、
現地でお会いした茅野ミヤマシロチョウの会の方と私の周囲を旋回しながら飛び、比較的低い木の葉に止まった。



綺麗な♀だ。



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暫くの時間翅を半開の状態で止まってくれた。最後は高い木に移動した。


雨も予想される天気でしたので、この一頭を確認した後に下山した。




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この地には5年振りに訪れたのですが、藪化していて花も少なく感じる。


キリンソウにギンボシヒョウモンが止まる姿や、
私自身今年初見となったサカハチチョウ夏型が何とも愛おしかった。



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茅野ミヤマシロチョウの会の方から、
数が少なくなった原因や、保全活動の大変さなど色々なお話をお聞きすることが出来ました。
何か判断を伴うような行動をする時は、県の許可を取りながらの活動との事です。
そんな地道な活動を無にすることがないように愛蝶家も節度ある行動が必要だと思いました。


日本で初めに発見されたミヤマシロチョウの場所が八ヶ岳。
これから先、健全な姿でこの美しいチョウが生息し続ける事を祈りたく思います。



7月29日 10:09 ミヤマシロチョウ撮影

日本チョウ類保全協会会員  MIYAKOUTA












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by MIYAKOUTA5040 | 2017-08-07 18:50 | ミヤマシロチョウ | Comments(14)

白いコマクサの花 高山のツバメシジミ

タカネヒカゲ発生の時期、八ヶ岳では色々な花が咲く。



高山植物の女王コマクサ。

以前見た大雪山系のコマクサよりも、八ヶ岳のコマクサは小さく、花の色が淡いものが多かった。




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岩場を選ぶように咲く風情には、他の植物との同居を許さない誇りを感じます。

でも実際近づいて見れば花の形はハートに近いのです。女王は可憐だ。




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白いコマクサの花に出会えた。白い女王は清楚、清楚!





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コマクサを眺めていたら一頭のシジミチョウが止まりました。


えっ、ツバメシジミ。標高は2600m。こんな高山にいるんだ。
メスの表翅の褐色が新鮮だった。高山の小さな姫だ!

ここでの食草はなんなのだろう。それらしいマメ科の植物には気が付かなかった。




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調べて見るとこのチョウは標高差での適応能力も高いらしい。標高2000mの記録はあるようです。
そうすると2600mはかなり貴重なデータなのかもしれない。

ほかにもスジグロシロチョウとミドリヒョウモンは飛んでいた。





チシマギキョウの紫色が鮮やかだった。

歩き疲れた中、この色に出会えると不思議と眼が冴えた。



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ミヤマダイコンソウの鮮やかな黄色は元気をくれた。



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この花は見逃すところでした。コバノココメグサ。

高山でこんな園芸種的な色をした花があるのですね。



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山に登るのにカメラやレンズは重く、300mmしか持って行けなかった。
マクロレンズで撮れなかったのは残念だった。


それでも、
あなうれし、高山の植物は心に沁みた。










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by MIYAKOUTA5040 | 2017-08-03 20:28 | 野草 | Comments(12)